今の季節、冬に向かって少しさびしくなった道路わきの草むらの中に生えているエノコログサを見て、去年死んでしまったうちの柴犬を思い出しました。
我が家の犬は散歩する時いつも私の前を歩きました。しつけ的には良くないんでしょうか、でもスタスタ歩いて行きます。必然的に私は犬の後ろ姿を拝むことになるわけです。
憂鬱で何もしたくなくて、でもなんとか散歩に出た日、うつむきがちに歩いていると、犬の差し尾(うちの犬は柴犬だけれども巻いていないしっぽでした)が、私の前でリズミカルに右、左、右、左と動きます。
その様子をずっと眺めていたら、なぜだか楽しい気持ちになってきて、あれほど気分が沈んでいたのに、散歩が終わる頃にはちょっと愉快な気持ちにすらなっていました。
あとで憂鬱にはリズム運動がいいと聞きましたが、散歩で歩いたせいなのか、でもあのしっぽがキュッキュッと左右にゆれるさまを見ていると、私はどうしても楽しくなってしまいます。
ちなみにエノコログサは犬のしっぽに似ているため「犬の子草」と呼ばれていたものがなまったのだとか。漢字では「狗尾草」と書くそうです。見れば見るほど、犬の尾にそっくりです。
オオイヌノフグリの由来も、植物を虫眼鏡で観察すると、なるほどなと納得するものでした。
犬のしっぽは憂鬱に効く、という話。