一年に一回の、稲刈りがやって来ました。
稲は機械で刈るのですが、田んぼの四角(よすみ)のところは機械では上手く刈れないので、人の手で刈り取りを行います。 この作業を「かどかり」といって、私は、稲刈りの手伝いでは、もっぱらこれをします。
昔の人の作業量に比べたら、刈り取るのはほんの少しの面積なのですが、刈っていると、徐々に疲れてきます。疲れてくると人間は、なんらかの楽しむ方法を編み出そうとするものですね。稲の隙間には、ひえやおもだかなどの雑草が生えているのですが、おもだかが稲の間から顔をだすたびに、私は心の中で小さな声で、「よっ、おもだか屋ァ」と、歌舞伎よろしく掛け声をかけ、ひとり静かに作業を楽しみました。
……楽しいのかな？という疑問は、心の中にそっとしまっておいて下さい。
そんな暑い秋の日です。
